和菓子の話

 

 

食品の世界には、それぞれ、多くの王国があります。本来、お菓子は主食物ではありませんが、およそ人類の生活するところには、必ず「菓子」が存在し、賞味されています。

特に現代の食文化中心的地位を担って、菓子王国を作り上げていると言っても過言ではないと思います。「人は菓子無くして生くるものにあらず」、主食物ではないから、人は菓子無くても生きて行くことに問題は無いと思いますが、文化生活あるところ、必ず、菓子が存在し、賞味されている事実を考えれば、菓子は人間生活必需品であると、位置づける事ができます。

 

   

 

 

 

菓子の分類と和菓子の種類

 

自然菓子、和菓子、外国菓子と三大別されます。

自然菓子とはいうまでもなく、風味、形態、栄養との三要素を備えた、その菓子は、すなわち果子であり、くだものであり、木果子であります。

外国菓子については、読んで字のごとく、外国から入ってきたもので、南蛮菓子(洋菓子)をはじめ、カステーラ、カルメラ、アルヘイトウ(有平糖)などがあります。

そして和菓子は、大きく以下のように分類されます。

  1. 棹物-羊羹、錦玉、ういろうなど
  2. 蒸菓子-饅頭
  3. 餅菓子-おはぎ、道明寺、大福など
  4. 干菓子、半生菓子-落雁、雲平など
  5. 焼菓子-どらやき、きんつばなど
  6. 飴菓子-有平糖など
  7. 岡物-最中、鹿の子など

 

とし田であつかう「半生菓子」ですが、水分含量によって区分されています。

一般的には、水分量30%以上含むものを生菓子、水分が10~30%を半生菓子、10%以下を干菓子と言われてます。

 

月ごとの和菓子の由来

 

睦月(一月)

皇室の歌会始めの御題に合わせて菓子職人が腕をきそったものですが、近年は「花びら餅」が茶人の間で主流をなしているようです。昔、宮中では、正月行事に出されていたこの和菓子は、白味噌あんとゴボウの蜜漬けを求肥を丸くのしてくるんだもので、ゴボウを枝に見たてて、梅の花びらに雪が舞う様子を表しています。また茶道の初釜にも、よく用いられています。

 

如月(二月)

節分、福は内、鬼は外、春近し草餅

 

弥生(三月)

桜餅、道明寺粉を蒸したものにあんを包み、桜の塩漬けでくるんで売り出したのが、通称、関西風桜餅で、小麦粉の焼き皮であんを来るんだのが関東風と言われています。他には、雛あられ、煉りきりで作った大根、れんこん、桃、みかんなどを盛り合わせた雛籠があります。

 


卯月(四月)

花見だんごに藤

 

皐月(五月)

ちまき、柏餅。男子の節句、ちまきは中国の故事に由来するとされ、茅や笹で餅を包み、円すい形にしたもので、主に関西が主流です。関東では餅を柏の葉に包んだ柏餅が作られています。柏の葉は新芽が出るまで落ちないため、家系存続の縁起をかついで武家に好まれたと言います。

 

 

 

水無月(六月)

串だんご。室町時代が始まりと言われ、もともとは神社で、無病息災を願って作られたもので、一串に五個の団子がさされ、人体を表したと言います。それが江戸時代、明和年間に四文銭が作られたため、それに合わせて串四個、四文となったのだとか。

 

文月(七月)

自然食・健康食として注目を浴びている豆類をおいしくいただくのも、体へのいたわりの一つです。小豆、金時豆、いんげん豆、大豆など、どれも栄養豊富で消化もよく、体の疲れを癒すに最適な食品です。

 

 葉月(八月)

氷白玉。夏の風物詩に数えられる、氷白玉。よく冷やして白玉に蜜を少々かけて、あんを乗せて食べれば、ほてった体もずっと楽になる気がします。白玉粉は、精白したもち米から作られますが、昔は寒中に作られたため、寒晒し粉とも呼ばれていました。

 

長月(九月)

月見だんご。中秋の名月とは、陰暦の8月、新暦でいえば9月中旬過ぎの満月をいいます。花見だんごに比べると、月見だんごは、真っ白で、ごく簡素なもの。秋の夜長、静かに月をめでるのにふさわしい風情を感じさせます。また、関西のものは、あんで巻いてあります。

 

 

神無月(十月)

最中。最中もまた、月に由来する和菓子です。江戸時代、大名に献上した丸い和菓子が満月に似ていることから、名づけられました。もち米の粉を蒸し、薄くのばしたものを丸く切って焼き、それを二枚にあわせた中に、あんを入れたお菓子が始まりで、菊や梅、小判形などさまざまな形のものが店先を飾っています。

 

霜月(十一月)

白玉ぜんざい。白玉につぶつぶのあんをたっぷりかけた、ぜんざいは、おしるこの中でもとくに、どっしりとした味わいが感じられます。

 

 師走(十二月)

 

織部饅頭。薯蕷饅頭(上用饅頭)の中で代表的な織部焼きの風合いをだした「織部饅頭」。すった山芋をつなぎに入れた生地に、少量の上用粉と砂糖を入れ、あんを包んで蒸し上げます。四季を通じて大徳寺饅頭、笑くぼ饅頭、柚子饅頭などがあります。